方角にして北西側にあるのが
『法隆寺宝物館』である。
古代の遺産を現代に伝える館として、
象徴的にデザインされているものと思われる。
あいにく、ワタクシはデザインには疎いのであるが
特徴的であることはわかるつもりである。
前面の水盤に湛えられた水は
循環させているようであり、
その排水側には時節柄多くの落ち葉が流れ込むのであった。
本来設置されているステンレスグレーチングでは漉しきれずに
更に目の細かい網が乗せられているのがわかる。
建物内から見ると、このようになる。
前面のガラスファザードと、水面との透明感が重なって
なにもない空間のごとくに見えよう。
それでも少し斜めを見れば、ガラス面の反射が強まる。
シンプルな、館名板。
Treasures である。
階段吹き抜けに吊られている、
灌頂幡(かんじょうばん) の模造。
本物の各部品は、展示室にある。
上から見ると
館内には、千年の時を超えた数々の逸品が展示されているのだが
劣化を抑える目的もあって、たいそう暗い。
安物の古いコンデジでは、到底写らない。
当然のことながら、フラッシュ撮影は厳禁である。
興味のある方も無い方も、
ご自分の目でみていただきたいものである。
ときどき展示替えが行われ、
また限定日のみ展示される物もあり、
何度見に行っても、見尽くせないはずである。
正門から法隆寺宝物館に行く途中、
左手に黒門が見える。
ここは普段閉まっていて、
なにかの時に開けられるのだという。
板金製の雨樋と、
小さな盤が目を引く。
結構無造作に、
地面に瓦が置かれていたりする。
此度のトーハク訪問であったが、
ここでタイムリミットである。
東洋館や、平成館には入ることすらできなかったし
本館裏の庭園といくつかの建物も、外観すら見ていない。
実は、本館もかなり駆け足であって、
じっくり見たとは程遠い。
科博も何度見に行っても飽きないが、
トーハクも同様だ。
上野公園界隈には、
国立西洋美術館と東京都美術館もあるし
動物園ほか、見るべきものが多数だ。
都内、上野だけじゃなくて
ほんとうに数多くの展示施設がある。
特別な施設じゃなくても、歴史的な遺産は多数ある。
国内各地を見渡すならば、膨大だ。
更に、世界にまで目を向けてしまうと、
気が遠くなりそうだ。
寿命が5,000年くらいないと、足りないんだと思うのだ。
「人生、ヒマだ〜」
そんな事を言っていたら、
モッタイナイと思うのだ。
逆に、
時間と費用を捻出するのに困難があったりする。
そういう方々も多かろう。
ライフ・ワーク・バランスを、如何にとるのか。
それこそ、ライフワークなのだ。
(「法隆寺宝物館」おわり)