こちらは帝冠様式ではなくって、洋式である。
洋式建築を研究して、解析して、消化して
造りあげたのである。
設計した人も、施工した人も、
すごいことだと思う。
明治41年の建築なのである。
大正天皇の成婚を記念して建てられた美術館 なのだという。
特別展やイベント時にしか中に入れないということで、
外観を舐め回してきた(比喩である。当然)。
設計者の片山東熊は宮内省の宮廷建築家であり、J.コンドルの弟子なのだという。
ちょちょいと習っただけじゃ、
とうてい辿り着けない境地だよね?
こういうレリーフ、デザインする人も造る人も
相当な手練とお見受けする!
今の公共事業では考えられないくらいの建築費が投入されたんだろうけれど、
カネさえあれば出来る、という類のものでもなく。
レリーフ、いちいち芸が細かい。
鳩が止まってフンするのを避けるために
トゲトゲがみっちり取り付けてあるのが、ちょっと目につく。
窓の格子も、いちいちデザインされていて。
床下換気口は、設備の侵略を受けている。
ライトアップ用の照明は、当然ながら後付け。
さりげなく? 配置されている。
電源ケーブルは、当然のことながら埋設だ。
古い石張りを傷めないように
苦心しつつ据えてある。
床下換気口は、電源の取り出しにも利用されている。
石積みの外壁躯体に孔を開けるのは
大変だし、支障も多い。
だから、やむを得ない措置と言って良いのではなかろうか。
階段灯の電源も、露出。
よく見ると、あちこちにモールが貼り付けてある。
そして、剥がれている。
いくらなんでも、
この露出はヤバくない?
外だよ? 雨掛かりだよ?
漏電ブレーカー、落ちっぱなしになってない?
裏口側には、バリアフリー動線が設けられていた。
この手の建物は、基本的にバリアだらけだ。
と言って、冒頭のようなファザードに、バリアフリー動線は設け難い。
となると、裏側に設けざるを得ないのだ。
歴史的建造物の宿命と言えよう。
あえてガラスを採用して、
洋館とのコントラストを目立たせている。
下手な「洋館っぽい」造りにすると、
非常にみっともない感じになってしまうから
これはこれでアリだと思う。
「対比」というやつだ。
屋外消火栓も、裏口側に。
後方に見える、いろんな盤も
後から後から必要に応じて取り付けられているものだ。
正面にあった、水飲み場。
今どき、どのくらい使用されているのかな。
暑い暑い真夏には
それなりに使われるのかな。
縁が濡れているところを見ると、
今日も誰かが使ったようだ。
表慶館。
中に入ってみる機会は、
後日訪れるであろうか?
オマケ。
表慶館の更に裏にある、資料館。
こちらは表慶館よりも新しそうだ。
窓と同サイズのガラリが見える。
1階の格子は、表慶館に似せてある感じかな。
無造作に、地面から生えていた
油用の通気管。
そろそろ、塗装しなくちゃね。
主燃料槽室用通気の頭に乗っている風車は
何のためだろう。
初めて見たよ。
(「表慶館は、外廻りだけ」おわり)