トーハク の本館。
まずは、エントランスホールである。
現代調の建物とはかなり雰囲気が異なる。
昭和13年、昭和天皇の即位を記念して開館したのだという。
RC建築+瓦屋根の「帝冠様式」の代表作であると
説明 されている。
階段も欄干もコンクリートであるが、
現代であれば金属を使ってスッキリと表現するのであろうか。
上に上がると、こんな感じ。
本館には、日本の美術、工芸、歴史資料が展示されている。
膨大な展示の数々は、実際に見ていただくのが一番であるが
一部だけご紹介しておこう。
たとえば、根付 高円宮コレクション。
「日本美術のあけぼの」は、縄文・弥生・古墳時代から始まる。
この土器のデザインが、結構好みだ。
ちょっと上から……
古代の鎧も。
サビサビではあるが、
ちゃんと遺されている。
昔の書き物が、なかなかどうして
感銘を受けざるを得ない。
今だったらPCで打った文章をプリンタで出すだけで
誰でも読みやすい文字列が作れるのであるが、
古代はそういうわけにいかない。
一文字一文字、しっかりと手書きしていくのである。
なんて、美しい文字であろうか!
ずうっと書き連ねていって、
「ああ、間違えたっ!」となったら
最初からやり直しだ。
竣工図の「金文字製本」ってのは
こういうやつが起源なんだろうか。
もちょっと時代が下ると
こんな兜が出てくる。
兜そのものもすごいが、
これを展示するための木台も
実はスゴイんじゃないかと、思ったりもする。
裏方の方々の、隠れたワザなんだろう。
ジャパニーズ・キモノ
現在は洋装が当たり前で、
和装にはちょっと特別感があるが
昔は和装しかないわけで。
そんな中でも、庶民の普段遣いとは違う
美術品としての逸品たちが陳列されている。
古い建築物ではあるが
現代の使用に耐えるために
「せつび」面でさまざまな改修が付加されているはずだ。
照明はもちろんのこと、
冷暖房換気、自動制御、などなど。
照明器具は、何度も取り替えられているものであろう。
誘導灯も、建築当初にはなかったはずだ。
ここについているのも、古いタイプだ。
監視カメラは、結構新しいものであろう。
廊下にある吹出口、吸込口はかなり古い感じ。
こういうのがあると、
一応近寄って見てみたくなるでしょ?
え? ならない?
そんなこと言わないで、見てみようよ。
中にフィルターじゃなくって、布? 的な何かが
入っているんだなぁとか、
ホコリの程度によって清掃頻度がわかるかな、とか
いろいろ気になるじゃあないか。
この制気口、特注で作ったらかなり高く付きそうだ。
ちょっとピンぼけで申し訳ないけれど、
こんなモノがところどころに置いてあった。
何だろうと思ったら「冷風機」だと。
秋とはいえ、ちょっと暑く感じるような日だったからかな?
オマケ。
トイレブースにあった、コンセント。
キタナイのも、ちと気になるけれど
どこの分電盤のどの回路に属しているものかわかるように
書いてあるのだ。
これ、どんな現場でも絶対に欲しい!
どうせ普通の人はあんまり気にしないし、
これくらい小さな文字であれば大して目立たない。
それでいて改修の時とか、
回路容量が厳しくなってきて、
別々の回路からコンセント電源を取る必要が生じてきた時とか、
すごく役立つのだから。
ね?
それはさておき。
東京国立博物館本館の展示は、まだまだたくさんあるのだ。
ぜひ、どんなものか見てみていただきたいなぁ、と。
そして、ついでで構わないので、
どんな「せつび」がヒッソリと働いているのか、
目を凝らしてみていただきたいのだ。
そうするならば、美術品+せつび という
知のコラボレーションが、観る人を魅了するに違いないのだ!
(大げさ)
(「トーハク本館を観てみる」おわり)